東京14区 伊藤文雄様の回答

2009,08,15 日本共産党 衆院東京14区予定候補
                                             伊藤文雄
        公開質問状「次世代へのマニフェスト~約束~」への回答
       
 青年のみなさんのこのような活動に大変はげまされます。私も20代の青年運動のなかで育った経歴があり、みなさんに大きな期待を寄せるものです。

以下、回答

 

 

【財政・社会保障】
1) 支出を減らすうえでは、第一に、年間約5兆円の軍事費の見直しが大事です。国の人件費や物件費の4割、公共事業以外の施設費の6割を占めるこの分野にメス を入れないでは歳出の大幅削減はできません。米軍基地の再編に3兆円、条約上義務のない年間約3千億円の米軍への「思いやり」予算、海外派兵費など削減す べきです。第二に、ムダな巨大開発を中止することです。40年近く凍結されてきた1㍍1億円といわれる環状高速道路建設をはじめ、不要不急のダム、港湾、 空港なども削る必要があります。あわせて行政の無駄をなくせば約5兆円が削減できます。
2) 「政治とカネ」の問題では、企業・団体献金を一切の抜け道なしに廃止することが一番大事です。主権者でない企業や団体からのカネは、ワイロの性質をもち必 ず政治をゆがめます。また、国民の政党支持を無視して年間320億円にものぼる税金を政党が分け取りする憲法違反の「政党助成金」制度を廃止することも大 切です。
3) 税金は、生活に必要な費用には課税せず、多くの利益を上げた企業や収入の多い人にたくさん納めてもらい、収入の少ない人や生活が大変な人を助けるよう再配 分するのが、集め方と使い方の基本です。所得の少ない人ほど負担が重い消費税を集める一方で、事実上消費税の負担ゼロの大企業にどんどん減税をして、社会 保障は切り捨ててきたこの20年間のやり方は、この基本を逆立ちさせたものです。私は、こんな消費税の引き上げには反対し、食料品などは非課税にすべきだ と主張します。そして、大企業や大金持ちへの課税を少なくとも98年以前の税率にもどせば、税収が約7兆円増えます。私たちは、ムダの削減と合わせて約 12兆円の財源を使って、雇用を守り、医療・教育の無料化などヨーロッパなみの「ルールある経済社会」をめざします。

 

 

【雇用】
4)自然エネルギーなどの分野で新規雇用を増やせます。現在、水力発電を含めても5%しかない自然エネルギー発電の比率を2020年までに20%へ引き上 げる計画を立てて推進します。その際、その電力を固定価格で買い取る制度を導入することがカギです。新規雇用拡大の可能性については、自然エネルギー導入 先進国であるドイツでの実績にてらせば、日本でも、年間約6万人の雇用を増やし、2030年には、約70万人を雇用する産業に発展させることも可能です。

 

 

【経済格差】
 5)①日本は、先進国のなかでも失業者に最も冷たい国で、国際労働機構(ILO)の調査によれば失業給付を受けてない失業者の割合が77%で、ドイツや フランスの10%台と比べても異常です。雇用保険の受給資格と給付期間など抜本的改善、政府の作った失業者への職業訓練と生活援助制度(緊急人材育成・就 職支援基金)の拡充が必要です。公共・公営住宅の建設や借り上げも含め、すべての失業者を対象にした生活扶助制度の確立が求められます。
②年金については、年金額を月額5万円底上げする最低保障年金制度をつくり、国民年金では月額8万3千円に引き上げ、無年金者をなくします。医療保険につ いては、年齢差別の後期高齢者医療制度を廃止し、先進国では当たり前の「窓口負担ゼロ」をめざし、当面子どもと高齢者の医療費を国の制度として無料にしま す。
③障害者の福祉は、本来、利用料を求めるべきではないのに、原則1割負担の「障害者自立支援法」が強行され、障害者と家族を苦しめています。この法律を廃 止して、障害者福祉を拡充することが急務です。母子家庭の問題では、政府の社会保障費削減方針のもとで生活保護制度のなかの母子家庭や高齢者への加算が 次々削られました。これは、憲法25条違反だと全国で裁判闘争が広がっています。国民のたたかいを支援しつつ、新しい政府のもとで、復活へ努力します。
④特別養護老人ホームの待機者が全国で38万人、14区でも千数百人にのぼるなど、高齢者施設の不足は深刻です。国が2006年に補助金をカットし、石原 都政も削減してきたことが大きな原因です。介護施設の整備を含め、安心して利用できる介護制度へ抜本的見直しを求めます。

 

 

【ジェンダー・子ども】
 6)ご質問のお気持ちやご意見に同感です。妊娠・出産を社会的に保護し支えてこそ、女性が平等に働くことのできる条件がつくられます。子育て支援には、 仕事と子育ての両立、経済的負担の軽減、「子どもの貧困」の解決、教育費の軽減など総合的な改善が必要で、簡単に進まないことは事実です。しかし、この分 野では、認可保育園の大量増設、医療費の無料化、児童手当の増額、義務教育と高校の無償化、給付制奨学金制度などの要求を少子化対策上も各党が取り上げざ るを得なくなっており、必ず前進すると思います。ぜひ力を合わせて実現させましょう。

 

 

【未来】
 7)30年後の未来を考えるのは、いま日本の政治にとって大事なことです。私たちは、おそくとも30年以内に、次の2つの方向で政治と社会の発展をめざしています。
(1) 国民のくらしと権利を守る「ルールある経済社会」へヨーロッパ並みの水準へ発展させます。その柱
は、①人間らしく働ける雇用と労働のルールを築き、②暮らしを支え命と健康を守る社会保障制度に立て直すことです。それには、消費税増税を許さず、軍事費 や大型開発のムダをなくし、大企業・大資産家へのゆきすぎた減税を見直し、社会保障などの財源を確保することが必要です。そのために、財界・大企業に堂々 とものが言える共産党が伸び、民主的な共同勢力がつくられることが大事です。
(2) 憲法9条を生かす自主外交で、世界とアジアの平和と友好に貢献できる日本へ発展させます。その柱は、①「非核の日本」を確立して、核兵器の廃絶に積極的役 割を果たすこと、②「軍事偏重」や「軍事同盟絶対」の外交から憲法9条を生かした外交へ改めることです。そして、「日米安保条約」を廃棄し、対等平等の日 米関係をつくります。そのためにも、日本共産党が大きく伸び、平和勢力が結集されることが必要です。

 

 

 

【食糧・農業・環境問題】
 8)日本の食料自給率40%は、先進国のなかでも異常な低さであり、ここまで低下させた自公政治の責任は重大です。私たちは、国民の死活にかかわる最優 先課題として、当面50%台へ回復させる「農業再生プラン」を提案しています。そのポイントは、①EUやアメリカでもやっている「価格保障・所得補償」を 実施すること、②担い手を育成し就業援助を強めること、③食料・農業政策を各国が自主的に決める権利(「食糧主権」)を保障する貿易ルールを確立するこ と、④農業者・消費者の共同を広げ、「食の安全」と地域農業の再生をめざすことなどです。
9)要来のエネルギーについては、安全性を高め地球環境を守る方向が大切です。安全上も技術的にも未確立な原発に頼らず、地下資源依存を減らして再生可能 エネルギー(太陽光、風力、マイクロ水力など)の比率を2030年までに30%以上に拡大させることを提案しています。また、大量生産・大量消費のライフ スタイルを改め、節約とリサイクルを重視する社会をめざす必要があると思います。

 

 

【教育】
 10)憲法は、教育の自由を前提に、すべての国民が教育を受け、主権者として成長する権利を保障しており、経済的条件や身体的条件によってこの権利が妨 げられないように、国は教育条件や奨学制度を拡充する義務があります。また、親には子どもに教育を受けさせる義務があり、国はそれを無償で保障しなければ なりません。したがって、教育への税金投入の効果を政治の短期的な目標との関係で論じるのは難しく、成果が見えにくいのは当然だと思います。憲法が求めて いる教育は、各人の豊かな人格形成に役立つことのみであり、その成果は未来の日本がどれだけ豊かで自由の花開く平和な社会になるかにかかっているのではな いでしょうか。

 

 

【外交・国際関係】
 11)日本政府は、憲法9条を生かす立場で、いま世界各地で行われている戦争や武力行為に加担せず、平和的解決に努力すべきで、国際的にもイニシアチブ を発揮することが大切です。したがって、私たちは、自衛隊の海外派兵に反対し、自民党や民主党が計画している憲法9条の改悪を阻止するため、14区内も含 む全国で七千を超えた各地の「9条の会」の活動や核兵器の廃絶を求める世界的な運動にも参加しています。

 

 

【人となり】
 12)私たちの党は、将来の理想を掲げながらも、日常的には、国民の苦難を少しでも軽減し、くらしと権利を守るために努力することを一番の信条としてい ます。ですから、その努力を止めたら政治生命を失うことになるでしょう。また、どんな条件のもとでも,国民に対しては真実を語るのが当然だと考えます。
 13)より良い社会実現へ少しでも役立ちたいと願って、35年前に党の専従役員となったときから政治家への道を歩んできたつもりです。多くの人から信頼 され、その信頼に応えられる政治家が理想ですが、難しいことです。尊敬する政治家は、旧東京6区で連続9回の衆院当選を果たした不破哲三さんです。私は、 小選挙区候補者に推されたのは3度目ですが、議席めざし最善の努力をつくし、過去最高の得票を得るとともに、比例代表での議席増にも貢献したいと決意して います。
 14)「派遣切り」など使い捨て労働をなくし、人間らしく働ける雇用と労働のルールをつくることを重要視しています。この政策は、若者に希望を与えるだ けでなく、日本の生産技術と日本経済の発展や社会の安定のためにも大事です。私自身、50年前に秋田から集団就職で上京し、荒川区内の中小企業に正社員と して働き、労働組合運動に参加して労働条件の改善に努力してきた経験からも大切な政策なのです。ことし正月に日比谷公園の「派遣村」を激励、14区内のい くつかの駅頭で「労働相談」を行うなど努力を重ねています。

 

 

【制度・市民参加】
 15)国民みんなが主権者ですから、自分が納めた税金の使い道に意見を反映させたいのは当然です。憲法では、ご存知のとおり、その前文の最初に「日本国 民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と書かれています。したがって、今回の総選挙で、ご自分の意見に近い政策を示している政党や 候補者に投票し、政策実現を求めて行くのが大切だと考えます。あわせて、公開討論会やシンポジュームなども大事だと思います。子どもも有権者ではなくても 主権者です。子どもの考えや意見を国会に反映させる機会や方法はもっと考えられるべきで、私も検討したいと思います。

 

 

【その他】
 16)政治不信の大きな原因となっている「政治とカネ」の黒い疑惑の発生を断つために、企業・団体献金の禁止と国民の税金を勝手に分け取りする政党助成 金を廃止すること。民意を切り捨てる現在の小選挙区中心の選挙制度を比例代表制に変えること。年金制度を、最低保障年金の導入と資格取得期限の短縮など若 者も希望のもてるものに改革することなどを急ぐべきだと思います。
                                               以上

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